『白人×黒人』『堅物×お調子者』などお約束にバディが天才スリというスパイスを入れた、ヨーロッパ産アクション映画。
ストーリーは『36時間』という時間制限もあり、いい感じに手の込んだサスペンス。アクションも銃撃戦だけでなく、肉弾戦も交えつつ、かなりの見ごたえがある。
出演者は『パシフィック・リム』のジェームズ・ワトキンスや、『シンデレラ』『ゲーム・オブ・スローンズ』のリチャード・マッデンなど有名どころ。
しかし箱を開けてみると、なぜか『ザ・B級映画』という不思議な映画。個々のバランスは非常に高いのにこじんまりとしている。
『ちょっと映画を観たいなー』という時にピッタリな軽いスナック感覚の映画。
作品情報
- 公開/2016年4月20日
- 製作国/イギリス・フランス・アメリカ合衆国合作
- 監督/ジェームズ・ワトキンス
- 出演者/イドリス・エルバ、リチャード・マッデン
あらすじ
命令無視は当たり前,己の嗅覚にのみ従うCIA捜査官ブライアーと、ラスベガスからフランスに流れ着いたお調子者の天才スリ、マイケル。
革命記念日前夜のパリで起こった爆弾テロ犯の濡れ衣を着せられたマイケルをブライアーが逮捕したことから、決して交わるはずのない二人がコンビを組み、真犯人を追うことに。
そして、真相に近づいたふたりは、国家を揺るがす巨大な陰謀に迫っていく。やがて事件はテロ組織、CIA、さらにはパリ市警をも巻き込んだ三つ巴の戦いへと発展していく―。
引用:公式サイト
作品のポイント
アメリカ人がフランスを救う
とにかく作中で『アメリカ人』に対する反応が過剰。事あるごとに『アメリカ人か?』というセリフがあったり。
まあフランス人としては、ヨソ者であるアメリカ人が幅をきかせてれば、その反応もわからなくもない。(移民・難民問題など、フランスの人種表現は繊細)そんな時フランス・パリをまきこんだ大事件が発生。
それを解決するのが、超イリーガルなCIA捜査官ブライアー、そしてドジっ子な天才スリのマイケル。この主役2人が、まさかのアメリカ人。
序盤からアメリカ人に対して、かなりネガティブな反応なのに⋯物語を展開させるのがアメリカ人なの?この時点で、この作品への期待と不安は高まるばかり。
ダーティさはアメリカへの皮肉?
この作品のキーマンがCIA捜査官ブライアー。なんでクビにならないのか⋯本作で最大の謎というぐらいムチャをしまくる。
そもそもブライアーがフランスに飛ばされた理由が命令違反。テロリストを独自捜査した挙句、犯人とおぼしき6人を勝手に始末。(なんで左遷で済まされるのか⋯)
新天地でどうなるかと思えば、速攻で命令違反。いや反省の色がまったく見えない⋯ゼッタイ組織で使いこなせないよコレ!
ただ捜査能力は高く、容疑者の潜伏先を即座に特定。さらに身体・戦闘能力も優秀。
このブライアーの潜在能力と傍若無人さが、アメリカという国のカリカチュア的に見えてしまう。思わず製作陣が皮肉でやってる?と勘ぐりたくなる。
ポンコツたちの協奏曲
この作品に出てくる登場人物が、とにかくダメダメ。フィクションとわかっていても『フランスの治安は大丈夫なの?』と不安になるレベル。
- 主役コンビ『アメリカチーム』
個々の能力が高いのに、チーム連携がポンコツ。主にブライアーがバディであるマイケルへの対応が最後までひどい。協調性・信頼感のなさが致命的。 -
主役コンビのライバル『真犯人チーム』
こっちはチーム連携力はできるが、個々の能力が並。そして決定的なのがリーダーのポンコツっぷりで、プランBさえもない楽観主義。 -
率先して動いてしまう『黒幕』
自ら真相に近づいた人間を消したり、交渉に出てきてしまったり。こんなにアグレッシブな黒幕ありえる?というポンコツぷり。 -
ご存知、元祖ポンコツ『地元警察』。
もはやポンコツすぎて、ただの空気。
まとめ
全体的としてよくまとまっている。ただキャラへの掘り下げがなさすぎた。せめて主役の2人はやらないと、感情移入ができない。
まあコンプライアンス重視なこの時代に、ここまで傍若無人なヒーローは貴重。命令違反しまくりで、バディも信用しないとか斬新すぎる。
そして、この作品だけのエッセンスである『天才スリ』スキルの見せ場、中盤とラストは秀逸。めっちゃカッコいい。
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