ホラーで日常系?怪異をマウンティングでフルボッコ。読み返すほどクセになる怪作/「不死身のパイセン」田口翔太郎

不死身のパイセン表紙

出典:https://csbs.shogakukan.co.jp/
©田口 翔太郎 / Shogakukan 2018.

ホラーでありながらギャグ、そしてヒューマンドラマという怪作。さらりと始まったと思ったら、グイグイ読ませてくる。

短めの1話1話がテンポよく、ホラーではあるがギャグが絡むことで、とても気持ちよく読みすすめられる。

そして、この作品の凄さは作中の「ある真実」。そこから怪異の「理由」が紐解かれ、予想のつかない展開となっていく。



作品情報

  • 著者/田口翔太郎
  • 掲載誌/裏少年サンデー
  • 既刊/全1巻(2019年1月現在)

あらすじ

突然の台風に襲われた街に住む2人の女子高生は、毎日、部活帰りに謎の怪異に襲われるようになってしまう。
しかも何故か狙われるのは先輩の方ばかり。
しかし、毎回、無事に生還する先輩。
まるで何かに取り憑かれているかのように――。

おすすめポイント

パイセンは最高にカッコいい

主人公である不死身のパイセンこと先輩。いつも下校のとき怪異に襲われ、命の危機⋯。しかし次の話では、何事もなかったように始まる。まさに不死身。

先輩の不死身さ

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©田口 翔太郎 / Shogakukan 2018.

そして先輩の特徴は、不死身さもだがその人間性にある。とにかく人としての器がデカイ。

一緒に下校するもう1人の主役、後輩の鬼龍院。コイツがとにかくキレやすい。

ただ、それは熱くなりやすいだけで、決して悪人ではない。それをキチンと理解して、根気強く「暴力はダメだ」としっかり諭してくれる。

さらに先輩を襲った子どもの怪異。それにキレる鬼龍院を「あの子もきっと一人で寂しかった」とフォローする。

手がかかる後輩であっても、人間のフリをした怪異かもしれなくても、困った人がいれば助ける。先輩のそんな姿に、思わず胸打たれてしまう。

ただオバケの話になると、いきなり器は超小さくなるけど。

先輩はビビリじゃない

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©田口 翔太郎 / Shogakukan 2018.

ホラーとギャグのバランス

珍しい「ホラーとギャグ」という組み合わせ。それが絶妙なさじ加減で、ゆるい日常のなかにジワリと恐怖が隣り合う

ホラーって精神的負担が大きいので、読むのがシンドかったりするが、この作品は非常に読みやすい。

先輩と鬼龍院の会話

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©田口 翔太郎 / Shogakukan 2018.

「2人の会話」→「怪異」→「ラスト」という流れがあるので、恐怖ポイントのタイミングがわかる。そのため気持ちの準備ができるのが良い。(それでもビクビクするけど)

そしてこの作品にしかない特徴が後輩である鬼龍院の存在。彼女がホラー要素をうまく中和してくれているが⋯こいつがとにかくヤバい。

後輩(鬼龍院)のクレイジーさ

先輩と一緒に下校する部活の後輩、鬼龍院。ホラー作品のキャラとは思えないゆるさ⋯というかチャラさ?緊張感をぶっ壊す、ルールブレイカーな女子高生。

先輩に絶大なる信頼をよせ、彼女を守るためならホラーのタブーさえ気にしない。

身長2mという恵まれた体と、煽られただけで顔面パンチを決める狂犬ぶり。それらを遺憾なく発揮し先輩に敵意をむける怪異に、グラウンドパンチや顔面パンチを容赦なく決める

鬼龍院のクレイジーさ

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©田口 翔太郎 / Shogakukan 2018.

最初に読んだときは、作中の先輩と同じく「は??」となった。怪異って殴れちゃうんだね⋯。

この鬼龍院のロックンロールなふるまい。読みすすめるとわかるが、キチンと根拠や意味がある。この作品は荒唐無稽に見えて、実に細やかな伏線など緻密に作られている。

そして鬼龍院、めっちゃアホかわいい。

おまけ

ガサツそうに見える鬼龍院、ちらちら気配りを見せたりする。

怪異に襲われ気絶した先輩を寝かす時、痛くないよう学校のカバンを枕にしている。上の画像で1コマ目。(第1話その後『叫び』)

まとめ

神がかり的なバランス感覚をもった作品。独特の空気感でホラー寄りになると、日常系ギャグがグイッと引き戻す。作者さんのセンスがすごい。

他の作品も見たいけど書籍化が「不死身のパイセン」しかない。過去に別冊少年チャンピオンで短編をやってたみたい。(別冊少年チャンピオン 2015年06月号のシックス・ ナンセンス。電子書籍はなし)

あと背が低いのが先輩で、後輩の鬼龍院がデカイというのが個人的にツボ。

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