個人的な経験則と、科学的根拠のない内容/「仕事が速いのにミスしない人は、何をしているのか?」飯野謙次

Kindleの書影

Amazon 書籍ベストセラー1位、Prime会員は無料だったので読んでみたが⋯もし自腹で払って読んでたらと思うとゾッとする。

タイトルからすると「仕事が速くミスしないメカニズムを解き明かす」風。

しかし内容は「社会人なら当然なこと」と、「ミスしなければ仕事は早い」的な科学的根拠のない「先輩の経験アドバイス」レベル。

もし読むとしたら、仕事の初歩的なミス「報・連・相」もまだ徹底できない社会人1ヶ月の子くらい。



読んだ印象・気になったポイント

前置きが長すぎる

書かれてる内容自体は間違っていないが、本題に入るまでのたとえ話が多い。明らかに内容を水増しようとしている。

読みはじめは「ちょっと説明しつこいなー」くらいだが、中盤をすぎると「もう本題に入ってくれ⋯」とうんざりする。

下のように、みんな知ってるリンゴをねちっこく遠回しに説明してくる感じ。

「これは赤い果物で、青森でよく採れ⋯」
「(いや、りんごでしょ)」
「時にパイで、さらにジュース⋯」
「(だから、りんご⋯)」
「(中略)それは⋯りんごなのです!」
「(⋯⋯)」

しつこすぎて後半は本題以外、ほとんど斜め読みになっていた。余分な表現減らしたら、半分以下のページ数になりそう。

問題解決の道筋が雑

新しい本なので、現代的なツールへのつきあい方もまとめているが、問題解決への上澄みだけで、どうにも掘り下げが甘い。

「ミス」を主題にし、起こりやすいファイル管理やメール連絡などを引き合いに出すが、フワッとした説明だけで具体的な対処法は書いていない。「ガラケーよりスマホが便利!」「どんな風に?」「⋯まあ調べてみ?」くらいの雑さ。

技術的な本でないのはわかるが、せめておすすめのソフトなり書籍なり、簡単な誘導くらいはして欲しい。

「ミスをする」学術的な説明はない

「ミスをするメカニズム」がある風に匂わせるが、書かれていることは個人的な経験則がほとんど。

冒頭で失敗学の話をしているので、てっきり行動心理学や心理学などを絡めた、学術的なアプローチで人的ミスの仕組みを解説すると思っていた。

箱を開けてみたら「忘れものをなくすため、物を減らす」「メールはシンプルに」「TO DOリストを使おう」みないな、全社会人が知ってるようなことばかり。

明らかに権威を笠に着たハロー効果を狙っているが、文章力が足らずメッキがはがれまくり。

まとめ

無料だったから読んでみたが⋯もう一度読もうと思わないし、人に進められない。

Amazon 書籍ランキングの1〜100位、90%がunlimitedって⋯タダだから読んでるだけでしょコレ。

反面教師として考えれば、unlimitedじゃない本は良い本ってことかも。今だと5位の科学哲学への招待⋯初めて知ったけど面白そう、レビューも星4か5でべた褒め。

もし読もうとしている人がいたら、そのお金でプッシュアッパー買って腕立てした方が、ストレス発散になるし、頭がすっきりしてオススメ。

やっぱり自己啓発本は、典型的な情報商材的って感じで良い印象ないなー⋯。

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